香川県産業技術センター研究報告概要

県内産粘土の緩衝曲線と置換性陽イオン

昭和55年度

岩崎賢一

 粘土には両性物質として酸にもアルカリにも結合する性質があり、緩衝作用を示すことが知られている。1938年BarkerとTruogは、34種類の未処理粘土の塩基置換能を測定し、粘土の種類によって緩衝曲線は三種の型に分類できることを示した。A型は、アルカリ添加のある量までpHが増加し、それ以上になるとあまり変化が認められないもの、B型は、ある部分で著しい緩衝作用を示し、曲線は二段階になるもの、C型は、一般に酸性で、わん曲点はpHの高い所にあり、置換性水素が多く、しかもかなりの量のCa2+やMg2+を含む場合である。この三型式のうち、A型とB型を示す粘土はpHの変化が少なくなる点までアルカリを加えると、粘土のレオロジカルな諸性質が改良されると彼らは述べている。このような粘土の性質は、粘土が吸着しているイオンと可溶性塩類の種類と量、構成粘土の結晶構造および粒度分布等によって左右される。一般に粘土が水と接している系で、粘土粒子が負に帯電している場合、粘土表面と吸着陽イオンは水和され、陽イオンは表面をはなれて電気二重層を形成する。そしてその電気二重層の厚みによって系が解膠するか凝集するかが決定される。つまり粘土−水系におけるレオロジー的性質は、他の要因も複雑にからみあっているが、おもに吸着イオンの価数と量に左右されると考えられる。 県内に産する粘土は、一般に*器粘土と呼ばれている複雑な組成の低級粘土である。このような粘土を原料として製品をつくる場合、その成形に関する諸性質を化学的に改良する試みはあまりなされていない。そこで本報では、一つのアプローチとして県内産粘土の緩衝曲線を測定して“pH-Control”の可能性を調べるとともに、粘土の解膠特性に大きな影響を与える置換性陽イオンと構成粘土鉱物を測定して、緩衝曲線との関連性について検討した。

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