研究紹介

醤油加工品中の核酸系調味料の分解

発酵食品研究所 尾路一幸

1 はじめに
 つゆ等の醤油加工品製造において、イノシン酸やグアニル酸等の核酸系調味料が使用されることがある。ところが、醤油中の酵素により核酸系調味料が分解されることがあり、一般に醤油をあらかじめ加熱する対策が採られている。この加熱条件と酵素の活性の関係について検討した。
 また、つゆ等では塩分が比較的低いため、通常の加熱工程で死滅しない耐熱性芽胞菌が増殖することがある。芽胞菌の増殖による核酸系調味料に対する影響についても検討した。
 

2 実験方法
 生揚げ醤油を40〜90℃でそれぞれ加熱し、核酸系調味料分解酵素の酵素活性を測定した。
 酵素活性は、核酸系調味料に試料(熱処理醤油等)を加え、30℃で30分間反応させHPLCで残存量を測定する事で求めた。
 耐熱性芽胞菌として醤油より2株を分離した。芽胞菌の培養液に核酸系調味料を加え、残存量を測定した。

3 実験結果
 生揚げ醤油を加熱した場合、80℃加熱では核酸系調味料の残存率は98%であった。したがって、醤油を80℃以上で加熱することで酵素は失活し、核酸系調味料は分解しないと考えられた。(図1)耐熱性芽胞菌の培養液の場合、50〜90%の核酸系調味料が分解された。(図2)このため製品中で芽胞菌が増殖すると品質の低下につながると考えられた。芽胞菌は通常の加熱では死滅しないため、醤油加工品を製造する場合、原料醤油等の芽胞菌の管理が必要であると考えられた。

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