研究紹介
廃棄物を用いた電波吸収材料の開発
材料技術部門 白川寛
現在使用されている電磁波吸収体には、1GHz以下の周波数域で用いられるスピネル型ソフトフェライトおよび数GHzの領域で吸収特性をもつゴム・カーボン系材料や数GHz〜十数GHzの範囲で用いられるカルボニル鉄粉含有ゴム材などがある。その中でも広く使用されているのがスピネル型ソフトフェライトであり、マイクロ波周波数域のレーダ偽造防止の目的や電波吸収壁材としてテレビ放送波のゴースト対策などの用途に用いられている。
しかしソフトフェライト焼結体は建築材料として用いるには非常に高価であり、また比重が5を超えるため施工時に取り扱いづらいという問題を有している。
上記問題点を克服するため、廃棄物を原料として電磁波吸収材料を作製することで価格の低下と比重の低減を目指すことにした。実際には、ボーキサイトの精錬過程で生じる赤泥と電池のリサイクル粉末であるアイゼットカルサインを用いた。赤泥中には40mass%程度の酸化鉄が存在し、アイゼットカルサイン中には酸化亜鉛と酸化マンガンが合わせて95mass%程度存在する。そこでこれらを原料として、Mn-Znferriteを目的化合物とし、作製した電磁波吸収体が実用化できる性能をもっているか否かについて検討した。
その結果、赤泥とアイゼットカルサインを原料として、二酸化炭素雰囲気中1100〜1200℃で固相反応焼結させることで、焼結体中にMn-Zn ferriteが40mass%以上生成し、1GHz前後の周波数帯域において最大反射減衰量-15dB以上の電磁波吸収特性を示すことがわかった。この場合、焼結体中のMn-Zn ferrite以外の構成物がSiO2及びAl2O3であることから比重は3前後の値を示した。また焼結体の厚さを変えることで、最大反射減衰量を示す周波数を変えることができた。今後は実際に外壁タイルを作製し、その生産技術及び電磁波吸収特性について検討する予定である。