研究紹介

醤油麹菌のxylanase遺伝子のクローニングと発現について

食品研究所 木村 功


1.はじめに
 醤油麹菌の生産するxylanase(EC 3.2.1.8)は特異的な作用を有しており、様々な分野(食品、飼料、製紙及びパルプ)での活用が期待されている。しかしながら分離精製等に多額の経費と時間を要するため、未だ産業利用には至っていない。
 本研究では醤油麹菌xylanaseの大量生産技術の確立を目的として、当該酵素遺伝子をクローニングすると共に大腸菌における酵素生産を検討したので紹介する。
2.方法
 常法に基づいて醤油麹菌からmRNAを分離し、逆転写酵素を用いてcDNAを調製した。
 当該酵素精製標品の部分アミノ酸配列をもとにプライマーを作成しcDNAを鋳型としてRACE-PCRをおこなった。
 成熟酵素遺伝子をpET37bベクター(Novagen社製)に挿入、大腸菌BL21 (DE3)を形質転換しIPTG存在下、組換えxylanaseの生産を試みた。
3.結果
 成熟酵素のcDNA塩基配列はDDBJ /EMBL /GeneBankデーターベースにAB040414として登録した。
 cDNAから推測されるアミノ酸配列はA. oryzaeのxynF3(Kitamoto et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 66, 285-292 (2002)と98%という高い相同性を示した。
 組換えxylanaseはセルロース結合部位を有する融合タンパク質として生産され、全活性の78%が大腸菌培養液中に認められた。またセルロース樹脂を用いた吸着処理によって、比活性1.3 U/mg proteinの組換えxylanase精製標品を培養液から6%の活性回収率で得ることができた。
 組換えxylanase精製標品を草本植物や木材に多く含まれる不溶性キシランに作用させたところ、反応速度定数は醤油麹菌xylanaseと同等であったが温度安定性が向上し、セルロース結合部位を有する組換えxylanaseの産業利用上の有用性が示された。

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